TVアニメ「ラブライブ!」完結
アニメ全13話、ついに終わってしまいました。
終わってしまった、という感想を抱けた事に安堵と幸せを感じます。
最終回手前という12話時点で色々と風呂敷を広げすぎてしまった感は、所謂「肯定派」な私としても懸念材料でした。
13話を見終わった今、正直なところ完全にそういったものを回収出来たかと問われれば、首を横に傾げる事柄もあります。
ことりの留学取りやめのあっさりさ加減とか、今まであれほどメンバーを気に掛けていた希がほとんど動かなかった事、それにりんぱなの空気具合とか。
でも、「電撃ラブライブ!3学期」の花田十輝さんのインタビューに少しありましたが、2年生組主眼で物語を進める以上、さらに13話という1クール制約がある以上、ある程度の妥協点は必要なのかもしれませんね。
さて。
13話を通して「ラブライブ!」というアニメが問いたかったのは結局何だったのでしょうか。
廃校阻止?
ラブライブ!出場?
違いますよね。
「μ's」というグループの、そして9人それぞれの成長の物語。
主眼は飽くまでもそこです。
穂乃果は、自分の「猪突猛進」が最悪の事態を招き完全に自信や勢いを喪失していました。
でも絵里からの「本当は自分は弱い、穂乃果が羨ましい」という告白や、何に触れても蘇るμ'sの思い出に触れ、徐々に本来の自分を取り戻して行きました。
発起人というのは並大抵の度胸では出来ない事です。それを取り戻し、「また周りが見えなくなって迷惑を掛けるかもしれないけど、でも!」という「らしさ」を取り戻せたのは、大きな成長といえるでしょう。
海未は、ある意味で穂乃果とことりの葛藤の板挟みに晒され、一番辛い立場だったのかもしれません。
相手を思いやれるからこそ、穂乃果の気持ち・ことりの気持ちが読めてしまう。穂乃果へのビンタも失望したという訳ではなく、自分らしさを殺そうとする穂乃果に対しての海未の精一杯の「気づいてほしい」信号だったんですね。
不器用極まりない。でも、そんな海未だからこそ幼馴染二人の間に立ち得るのでしょう。
ことりの優柔不断さや自分への自信の持てなさが大きくクローズアップされた今回でしたが、やはり「自ら」それを是正するというのはことりには無理だろうな、とは思っていました。
不器用な海未では、ことりの背中を押す役割は担えない。強引に引っ張りこむぐらいじゃないと、彼女は動かせないんですね。
言うまでもなく、ことり(と、海未)を引っ張れるのは穂乃果しか存在しえません。
でも、空港で引き止められ、素直に飾り気なく「行かないで!」という心をぶつけられて戻る事を選んだのは紛れもなく「ことりの決断」です。
穂乃果はエンジン、アクセル。
海未はブレーキ、ステアリング。
ことりはクラッチ、プロペラシャフト。
どれもこれも、車両が存在するには無くてはならないものです。
3人の誰が欠けても、ダメなんですよね。
ことりが留学問題で欠けただけで、μ's自体が瓦解するにまで至った。穂乃果が欠けると、海未やことりでは事態に流されるしかない。海未が欠けても、やはり穂乃果とことりではどうする事もできない。
バランスのよいトライアングル関係はもちろん功罪ありますが、彼女らはまだ高校2年生ですから。
これでいいんです。
以前は孤独を選んだにこが、μ'sの活動休止に直面して花陽と凛を誘ったというのは、大いに成長を伺わせるところです。挫折を、次への活力へと変える心を得たという事ですね。
絵里は以前、自分を隠して生活する事しか出来なかった。それが、穂乃果に自分の弱いところを包み隠さず告白したのは、それだけで凄い事じゃないでしょうか。
希はある種精神的に他の8人よりも大人ですが、μ'sの解散危機に際しては無力感に苛まれている様でした。彼女は成長というより、自分の役割を理解し立ち回っていたまさに「お母さん」ですね。
花陽は分かりやすく成長したメンバーの一人ですね。4話でクローズアップして語られましたが、自信の持てない自分を改め、μ'sという新しいステージへ飛び込む事を選んだ。
凛も同じく、「女の子らしさ」というある種の自分へのタブーを脱ぎ捨て、μ'sを通じて自信をつけたのではないでしょうか。
真姫の成長は、10話で分かりやすく語られましたね。μ'sに入ってもなお心を頑なに閉ざそうとしていた真姫は、希のμ'sに対する深い想いに触れ不器用に、徐々にですが心を開く努力を始めました。
μ'sは、もはや9人にとって学院存続やラブライブ!出場という「目標」があるからという理由ではなく、純粋にそして当然に「やりたいからやる」事へと変化していたんだと思います。
本心さえ誰かが……というより穂乃果が曝け出して動けば、あっという間に団結できる。
育んだ結束の固さは、最後の「START:DASH!!」を踊っているメンバーの表情でも現れています。
特に「抜けだしたはずさ」のところの穂乃果の表情。
3話では憂いを帯びた悲しそうな表情が、13話では心から楽しんでいる満面の笑みへと変化していました。
綺羅びやかにサインライトで輝く、「満員」の講堂。
本当に涙が止まりませんでした。
そして、途中のアルパカのカットインで笑いも止まりませんでしたw
A-RISEの3人がPCで映像を見て驚いている表情。
困難を乗り越えて団結を取り戻し、以前より強固になったからこそ、直接心へ訴えかけるんですよね。
元々、3話で聴いた瞬間に「START:DASH!!」は私にとってラブライブ!で一番に好きな曲になりました。
それが、「憂い、決意のスタート」から「団結と新しい夢へのスタート」へ昇華されて万感の想いです。
アニメは「ラブライブ!」というプロジェクトから見れば大きな展開ではありますが、コンテンツを構成する1要素にしか過ぎません。
すでに6thシングルや総選挙が告知されているように、これからも続いていく物語です。
でも、アニメという直感的に物語に触れられるメディアは他にありません。
いつか終わるものとはいえ、寂しさを感じずにはいられません。
やっぱり、2クールでじっくりと見たかった。
でもだからこそ、次の展開を追いたくなる。
また、感動を与えれくれる事を期待して、追い続ける事にしましょう。
キャストの皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。
いい物語をありがとう。